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2024-04-30

経験をきく

穀雨が過ぎ、道を走っていると、水を張られた田んぼがきらきらと眩しいです。

学生時代、ある宿でアルバイトをしていました。築100年ほどの民家を改装していて、土間(共有スペース)の中心にどんと置かれたトチの木の一枚板のテーブルを囲んで旅人同士、たまには地元の方も混ざって夜な夜な語らう日もありました。旅の情報交換、旅の目的、出身地の話、それぞれの背景を話しているうちに、打ち解けて人生観を語ることも。一生のうちに一晩しか出逢わないけれど、贅沢な時間だったなと、心に残っています。

この宿はわたしが旅が好きになったきっかけの場所。人生の「先輩」と話しをすると、背景にある文化や経験からの様々な考えに触れられる。広い視野でものごとを捉えるきっかけを与えてくれて、次第に「自分」が形作られるような気がしています。

写真は、35年ほど前に親方(大工)と戸塚氏(設計)が建てた二世帯住宅を、この度ご夫婦の家に改装しました。建築は誰かの人生に触れる一つの大きなお仕事だと改めて感じます。世代を繋ぐ新旧の材がどんな風に育っていくのか楽しみです。

設計・生川

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