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2024-02-13

挫ける

半世紀以上も生きてくるといろいろな経験をする。
往々にして良くないことは忘れ、良いことだけを覚えており、更によりいい方向に脚色がなされていくのだから人間の脳というものは…というか、我めでたい。

その上でのお話。「挫けることは決して悪いことではない。」と、まだまだ若い人たちに向かって言ってあげたい。挫けることを怖れないでほしいと思う。たしかに真に挫ける時、そこには余裕というものが微塵もない、これはなかなか怖ろしい。それでも尚、勇気を持って挫けろ!というのには(挫けること自体を目的とした挫けるはないのだが…)、挫けた先には光があり、その光は、挫けることなしには決して見ることはできないということを自らの経験から知っているからだ。

その光は、眩しく、軽やかで、そしてあたたかい。
積極的チャレンジの先にこそ真の挫けるはある。人生はまだ見ぬ先に向けて刻々と進む未知への旅なのだからそれはチャレンジそのものだ。積極的に進む人にも、消極的に進む人にも挫けるはやってくる。挫けたことをどう生かすかだろう。ただ「他のせいにする…」という挫けるからの回避方法がある。しかし、これはなんとも曇り空だと私は思う。

何とこの短い文章の中に11回も「挫ける」と書いてしまった。
本当は、安心して挫けることのできる社会をつくらねばならないのだろう…われわれ大人が。

建前が好きだ。
柱を立て、梁を掛け、今まで何もなかったところに空間が建ち現れる。
それは人の手によって成される。

設計・六車誠二

次回からテーマは「せとうち大工・修行編」〜先達として〜に変わります。

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