toggle
2018-08-20

書院

写真は、7寸角6メートルのヒノキ・・・立派である。
築100年の書院建築の全面改装のために探した材である。既存の建築は、いわゆる栂普請で、当初、栂で探していたが、栂は松と樅の混合林を成していて松食い虫の被害の後は、ほぼ伐採されておらず、あちこちと探し回ったが、結局集めきれないと判断し、ヒノキとなった。
ヒノキの色を基調とした白い空間と既存部分の栂の飴色が対をなす空間となる。
さて、書院という建築様式は、室町時代に産声を上げる。それ以降、進化と発展を重ねて江戸末期にその頂点に至る、しかし、全ての芸事がそうであるように進化発展という形式化が進めば進むほどに細かな決まりごとが生まれ、誰もが操りやすくなると同時に本来持っていたと思われる自由度やおおらかさが失われ、文字通りに形式化され、一つの型にはまり、がんじがらめになっているのではないかと日頃から感じていた。今回、江戸初期の状態に戻そうということをテーマの一つにおいて設計を進めてみた。形式化される以前のまだ固まり切らない、あらゆる方向への可能性を秘めた状態の中で書院の可能性をもう一度考えてみたい!という思いである。いよいよ着工、どのような空間が立ち現れるのかとても楽しみである。

設計・六車誠二

関連記事