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2023-09-11

WANT

将来の職業を建築にすることは、高校進学前には決めていた。でもそれは漠然とした職業の選択だったのだと思う。

大学に入る前年の夏、大阪・梅田のナビオ阪急でアントニオ・ガウディ展を見る機会を得た。いつもなら入口から出口まで一直線、感情に何ら抑揚がないことを表象するかのように一定のスピードで歩み、そのまま出口から出てしまう。ところが、その時は少し様子が違っていた。出口が見えてきた時、このままここを出てはいけないと思ったのだ。振り返り、流れを逆行、再び入口まで戻り、小さく深呼吸、今度は一つ一つを見、全ての文字を読み、図を見つめつつ歩んだ。正直、多くは理解できなかったが、ただ一点、アントニオ・ガウディという人は、その人生を賭けて彼の思想・哲学を磨き上げ、それを形にし、後世に残した。僕は、その建築を「とてつもなく自由」だと感じた。バルセロナに行き、ガウディを自らの目と脚でどうしても見たいと思った時、心が熱くなった、、、これが僕が建築をこころざした瞬間だった。僕は、解き放たれた強烈な自由に触れて自らの志を実感した。

人は、Must ではなく Want で奮い立つ。

学びは一生だけれど、教えることも同時に求められる年齢になった。たとえどんなちっぽけなWantであったとしても、ひとに与えることができたらと願う。そして、自らもWantの人生を歩み続けたい、最後の瞬間まで・・・

写真は、初めて挑んだ社寺建築「鹿社鎮守」。屋根の曲線はカテナリー曲線。ヒモの2点を持った時に現れる自然曲線だ。ガウディはこの曲線を自在に操り、自らの造形の基本原理とした。2枚目の写真はフニクラと呼ばれるガウディの逆吊り実験。これを天地逆にするとガウディ建築になる。彼の建築は重力そのものを捉えている。

設計・六車誠二

次回からブロクリレーは「せとうち大工・修行編」テーマ:「挫ける(くじける)」となります。

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