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2016-03-15

欠点が欠点じゃなくなる

前回の僕のブログで書かせて頂いた、増築現場の話です。

現場のお施主様は漆芸家です。そしてアーティストです。 出来上がりは最高でした。こんな事を言うと手前味噌の様ですが、本当に素晴らしい現場、素敵な空間になりました。
実は、その要因の大半は、お施主様の漆によるものだと思います。
設計、大工、左官でそんな派手な事は、何もしていません。
床、天杉のカウンター、収納箱にカーボン色やベンガラ色の漆を拭くと、現場がここまで変わるのかと思えるほど素敵になりました。
ここまで話すと『漆だからね』と思われるかもしれませんが、それでは題名の『欠点が欠点じゃなくなる』って?となります。
もちろん、漆は素晴らしいです。でも、毎回漆を塗る事は出来ません。

あくまで、これからの話は着色として考えてください。
これまで、僕たちは着色を嫌っていました。色合わせ、節合わせなどの木取りで美しく見せれるから不要とも思っていました。
しかし今回、いつもなら見せないようにしていた、木の欠点ともいえる死節、抜け節を、お施主様の要望で残し、見せるようにして漆を塗りました。
もちろん、最初は不安だらけでしたが、出来上がりは先に言った通り。
丁寧に塗りこまれた死節、抜け節が実に美しく、欠点は木のあじとなったのです。
僕達のチームは、板の塗装(柿渋塗り、亜麻仁油塗り)を、よくセルフビルドでしています。プロアマ関係なく出来上がり、いや、実は自分の家だから、採算を考えずに塗ったお客様の方が綺麗じゃないかと思えるくらいです。
実は、次になるかもしれない現場は、天井板にバトンという塗料をセルフビルドで塗ろうと思っています。塗装により民芸調になるのは避けなくてはならないので、設計力は必要ですが、 木の欠点をも味方に出来ればと、胸膨らませています。

大工・六車俊介

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