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2023-02-17

手入れができること

まだまだ肌寒い日もありますが、暖かい日差しに春の訪れを感じられるようになってきました。移りゆく季節のはやさに戸惑いもありながら、置いていかれないようにと、日々を過ごしています。

畳や障子、襖など、日本で古くから使われてきた建材のひとつです。長く使い続けるためには、数年に一度、張り替えや手入れを要します。屋根の茅葺きや藁葺きも同じ、傷んできたら葺き替えます。

自然素材を扱う上で、”手入れ可能”であることがとても重要であるように思います。”メンテナンスフリー”という言葉もよく耳にしますが、手入れしなくてもいい=アップデートができないと置き換えると少し不安を覚えます。

建築に携わる職人さんは、家のかかりつけ医のようなもの。病院の定期検診のように、家のあちこちで不具合がないか、傷んでいるところがないか見てもらうことができます。住み手(使い手)と作り手のコミュニケーションの場となり、お互いの声を聞くことのできる大切な時間です。

建築の寿命(増築や改築、移築を含めて)は、素材の扱い方、手入れの方法によって、自分たちの寿命よりうんと長くすることもできるのです。

時間が蓄積した自然素材の風合いと建物のもつ記憶は、お金をかけても手に入れられないもの。住み手が次の世代に渡っても、手入れしながら、長く住み繋いでもらえるような、そんなものを目指したいです。

写真は、四国村に移築された下木家住宅。2年前に葺き替えられた茅葺き屋根です。

設計・生川


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