構法を考えることの意味
ひとつのテーマについて社員がそれぞれの意見を連ねていく、ブログリレー。
2020年の10月に始めてから、早くも1年半が経ちました。
季節は春、軽やかな文章が書きたい気分ですが、今回のテーマは「構法」と何時にも増してヘビーです。
私たちの会社では、「伝統構法」・「民家型構法」の流れをくみ、「若杉活用軸組構法」と称して、木の特性を活かして建てる構法を提案しています。
構法を考えるということは、家を作るときの作りやすさ、家に住むときの住みやすさ、家を直すときの直しやすさ、そして家を壊すときの壊しやすさを考えるということだと思います。
ただ、その「〇〇しやすさ」を目先の自分にとってだけのしやすさで考えていては、あとあと面倒で大変なことになります。
住むときの住みやすさを考えて、作りがたいことをも作る
直すときの直しやすさを考えて、住みがたいことをも住む
壊すときの壊しやすさを考えて、直しがたいことをも直す
次の家を作ることを考えて、壊しがたいことをも壊す
私たちが作っているのは、法隆寺ではありません。
何十年、長くて何百年かで役目を全うする「物」です。
私たち人間が永遠に生きられないのと同様に、建物も永遠ではありません。日本の木造建築の文化はそのことが前提となっています。
常に次の段階へと変化していくからこそ、まわり続ける円の次の一手を、その次の、そのまた次の一手を想像するのです。
たくさんの人がたくさんの「ありがたい」ことを重ねて、今私たちはところを得て住むことができ、生きていられます。
自分は、次にどんなバトンを渡そうか。
構法を考えることは、とても創造的で面白いことだと思います。
私(森﨑)は3月末で退職するので今回で私の番は最後です。
いつも、そしていつかこのブログを見てくださる方に、感謝しています。
PS これからは山口県で建築します。良いご縁がありますように!
写真は宇多津の現場です。内装や家具が少しずつ出来上がってきています。
設計・森﨑
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