2021-05-11
木と水
すっかり暖かくなってきて、事務所の雑木林のような庭にも、色とりどりの小さな野の花が咲いています。
家に無垢の木を使うというと、肌触りのいいフローリングを思い浮かべる方が多いかもしれません。
六車工務店では、床だけでなく壁や天井にも無垢の木を使います。柱や梁などの構造材には国産の杉やひのきで自然乾燥したものを使っています。扉や窓といった建具についても、無垢の木で作ると、結露しにくいというとても大きな利点があります。
木や土、畳、あるいは綿や絹、漆などの自然素材の良さは、その多くが水分に関係することのように思います。
触り心地の良さ、柔らかな光沢、しなやかさ、結露のしにくさ、、、 そういった一見表面的とも思える現象は、実際は内部や全体といったものと深く関係しています。木材の内部を、そして家の内部を、水分と熱がどのように移動分布し外部と出入りするかということは、家や人、地球にとって最も重要な問題の一つです。
年輪は日の光の跡、木目は水の流れの跡です。木の表面には、生前の木の生命力が否応なく現れており、人は自然と無垢の木に癒しを感じるのだと思います。
集成材や合板にももちろん良さがあり、六車工務店でも、壁の内部には合板を使います。それが色々な事情を踏まえての現段階での一つの答えです。
今作業場で刻みの進んでいる家は、ありがたいことに合板を一枚も使わないという仕様ですが、これはなかなかできることではありません。
現代において木の力を最大限に生かした家を作るにはどうしたらいいのか、考えて続けていきたいです。
写真は事務所の中庭です。四隅の板戸を開けると風が通ります。
設計・森崎
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