2021-01-30
日本の土壁
毎朝霜が降りたかと思えば急に暖かくなり、心地よい天気が続いたと思えば今日は風が吹き荒れる、そんななか設計事務所では、宇多津の現場の土壁について壁量計算の最終調整をしています。
そもそも日本の土壁というものは考えれば考えるほど、不思議な存在です。
土と木の融合した建築は世界中にありますが、どれも土は基本的に地面から立ち上がり、構造体となったり、あるいは他の構造体等の表面を覆ったり接着したりするもののように思います。
しかし日本の伝統的木造住宅では、高床と土壁が両立しているのです。土は地面から遊離しています。そして土は柱や梁によって区切られ、柱の右の土と左の土は繋がっていません。
日干しレンガのように土自体が主構造体になるでもなく、石造りの壁の目地として他の構造体を接着し支えるでもなく、土壁の土は己のために小舞にしがみつき、自重に耐えているのです。
大した違いには思えないかもしれませんが、このことの意味は、構造的にも文化的にも小さくないような気がします。ほんの思いつきでいろいろと書いてしまいましたが、もしかしたら日本の土壁の遊離性は、土壁が地震時に真っ先に崩れて地震のエネルギーを吸収し木軸を守る柔構造のしくみと少し関係があるのかもしれません。
壁量計算において現行法規が土壁の性能を低評価している理由のひとつは、やはりこの日本の土壁のしくみの特殊性が理解されにくいということなのかなと思います。
写真は建設途中の貫工法の倉庫です。
設計・森崎
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土壁について教えていただきたいことがあり、ご連絡差し上げました。
土壁の色のことで、間柱や貫にあたる部分が色が薄く、その他の部分が色が濃くなっている壁がありますね。
https://www.e-kinenkan.com/house/house.html
の西棟7疊間写真の床の壁のように。
初めからそのように塗分けているようには思えず、時間の経過で変色したと想像しています。色が薄いほうが当初の壁の色に近いのではないでしょうか。
なぜこのように変色するのかお教えください。よろしくお願いいたします。