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2020-11-10

木と住み手の懸け橋

 こちらで働き始める前は、大工というのは簡単に意のままに木を扱える人たちだと思っていました。が、それは少し安易な思い込みでした。実際には大工さんたちは、各現場のたびに、木の収縮や反り・節などを考え、たくさん木と相談し出来ること出来ないことを見極め、ひとつの建物を作り上げているようです。

 硬い木、柔らかい木、曲げに強い木、水に強い木…それぞれの木の性質は、長所・短所というよりかは、個性という言葉の方が似合う気がします。ある木が建てようとする家に適しているかどうかは、なにか基準があるわけではなく、ただ住む人の好みや生活に求めることとその木の個性とが共鳴するかしないかだと思います。 

 だれでも子供の頃、秘密基地を作ったり、おままごとをしたりしたことがあるでしょう。自分の居る場所を作りあげていくのは、大人になっても変わらず本当に楽しいことです。

 大工は、お施主さんの代わりに木と向き合い、お施主さんの過ごす場所を作っているわけですから、それぞれの住み手に合った木や作り方を選ぶ必要があるし、その木がどんな個性を持っているのかを住み手に伝えることもまた、大工の仕事ではないかなと思います。

設計・森崎

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