toggle
2018-09-30

願いを重ねる船

嵐を前に家屋を点検し、つい窓辺へ寄り表を伺うような不安な日です。 建物の手入れの機会も多くなりますが、そんな仕事の後、運命共同体の船のように家を頼もしく思えることもあります。

三本松市の古民家再生工事が始まりました。写真はお施主さん三世代とともに製材所を訪ねて見た檜材です。 設計方針は世代を超える家としての再生です。建物元来の書院造の格式を引き継ぎ、次に大きな改装の時期を迎えた時、この建物を選んだ家族の眼差しを思い返せる今回の再生にしようという願いを設計共々軸としています。 再生工事には水廻りなど、一定の期間ののちには見直しの必要な部分や、生活、建物周囲の状況に合わせて新しくする部分の提案もあります。 自然の雑木林を思わせる、清らかな風の通る庭園のあるこの古民家では、その恵みの染み入る部屋を確保し、特徴付けるために、瓦、漆喰、建具それぞれの試みを職人、大工と協働します。

現代の日本で百年前の普請と歩みを合わせるために、数少ない天然国産材のエキスパートである生産者を訪ねました。 時代の波に負けないで古い家を保つ事は、不安の大きい事です。しかし志を持って旅に出ると、同じ現実に対している仲間に出会います。お施主さんと生産者、お施主さんとご家族。心の通う旅路でした。 長い間をかけて育てられ、慎重に製材された建材を、先の永い住まいとするこのプロジェクトに幸せを感じます。

設計・山田 祥平

関連記事