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2017-11-30

修行

この度、2017年12月末日をもちまして修行を終えることになりました。私ごとで恐縮ですが、この場をおかりしてご報告させていただきます。 約7年間、六車誠二建築設計事務所にてたくさんのことを学ばさせて頂きました。建築のこと、人に喜んでもらうこと、人生哲学、経営のこと、生活を愉しむこと、ものづくりのこと…。あげると終わりがないくらいにあります。入った当初は、3年くらい修行したら何かできるのでは、と甘い考えで日々過ごしていましたが、知れば知るほど難しく楽しいことの連続でした。今の社会ではなかなかこんな修行をさせてもらえる場は少なくなったなか、私は運が良かったと思います。頭で考えがちな自分に「経験」すること「実行」することから全てが動き出すと納得する場面を多く経験させて頂きました。そのように行動している職人さんや作家さんの生き様を見ることもとても貴重で大切な時間でした。設計の醍醐味は、素案からは考えもしない方向へと面白く展開していく仕事内容にあり、自分の中にもとあった価値観を「この考え以外も答えはあるかもしれない」と、多様な方向を探り意見を形にしていく。そして、考えつかなかった答えにたどり着く。そこに苦悩や、感謝や、笑いが起こるのです。異業種多様な人が出入りする事務所の面白い会話はとても居心地が良いものでした。そんな環境を与えてくださったことに感謝しながら、将来自分もこんな風に、ものづくりを介して人と関わっていく生き方を探していきたいと思います。スペックやスキルだけでなく、コミュニケーションが大切。この先、人に喜んでもらえる自分であるために、技術を習得していく職人的生き方を進めていきたいと思います。  


設計・矢野裕子  


※茶室「掌庵」  

腰張り:「ウィリアム・ブレイク」『無垢の予示』より 望月通陽  

中柱 :こぶし 千本銘木商会 中川典子  

建具 :アートウッド松川  

下地窓:銅管吹寄ろう付け 六車工務店  

すだれ:皮付よし材 平田翠簾商店  

左官 :太田勝之  

大工 :六車俊介

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