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2016-11-30

「こころみ」

市中の小さな杜の中、3坪ほどの茶室の作事が進んでいる。
はじめての茶室づくり、チーム全員、緊張で満ち満ちている。
設計は、本歌を慎重に、注意深く読みとろうとするところからはじまった。
「わからない…」「なるほど!」が、交互にやってくる。
なるほどを少しずつ積み上げて、ようやくカタチが見えてくる。
そこに、少しずつ新しいこころみを足したり、引いたり、
時には、掛けてみたり、割ってみたり・・・と、試行を重ねる。
伝統の中の決まり事は大切にしつつも
そこに新しい風のようなものをといつも考えている。
版画のように版木は元のままであっても色と刷り方、つまり、素材と工法には
今という瞬間の思いのようなものを織り込みたいと、トライ!
本歌に対して、柱・梁は、杉の磨き丸太を栗の大面取りに、
垂木は、白竹を六角の栗に、
小舞は、女竹の元末入れ違いを杉の赤白に、
野根板の赤白吹き寄せを赤杉と桐のうづくりで、
まだまだある。
本当にこんなことをしていいのだろうか、時に弱気になったり・・・
ドキドキしつつも1つ1つを楽しんで、果敢に前へ
杉・栗・桐は相性よく、数寄屋のトリオ
作事もここから終盤戦、気を引き締め直す。
決して、こころみがくわだてにならぬように・・・

設計・六車誠二

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