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2016-06-30

150mmのマスメとススメ

六車工務店+六車誠二建築設計事務所では、構造材は主に国産材(吉野産)の杉を用い、その断面サイズは150mm角(5寸角)のものとしています。戦後に造林された杉から無駄なく取れるサイズと考えているからです。

設計の段階から、平・立・断面すべての中で、150mmのグリッドを意識しながら、計画を進めていきます。開口の寸法(鴨居や枠全体の幅・高さ・奥行)、造り付けの家具の寸法(枠全体、棚、仕切り等の幅・高さ・奥行)は、その150mmの見えないグリッドの中に納められ、そこに使われる板の厚みや逃げ寸法も、150の約数である30を主に用います。

いわゆる開口などの基準となる内法高さ(床面から鴨居の上端まで)の高さもこのグリッドにのってくるのですが、3で割れる数値であるために日本ならではの尺寸法にも違和感なく納められ、不思議な話ですが、正角のグリッドであるため、黄金比やフィボナッチ数列といった世界的なプロポーションの基準にまで話は広がります。

このグリッドは、150mm角の構造材を積み上げるという建物全体の軸組レベルから、家具や開口といった身近なレベルの高さをそれぞれのお施主様に対応させながら全体をまとめあげ、結果として機能と美しさを兼ね備えたものとさせてくれます。

設計・上杉康介

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